
前回は、「相談力」の2つの力、『相談活用力』と『相談対応力』について述べました。
組織(会社、病院、自治体や学校等)での相談は、その組織に入ったばかりの新入社員・職員(以下新人)とベテラン社員・職員では、当然違ってきます。
最初は、全て未経験の新人は、知らないことを聞いてきます。
それから、仕事の知識、情報を仕入れて、今度は、具体的な仕事の一つ一つでその進め方で分からないことが出てきます。そうすると「どうしたらいいでしょうか?」の相談となります。
そして経験を積む中で、次には自分なりの考えをもって「こうしましょうか?」となってきます。
さらには、自分の仕事だけではなく、職場で問題に思うことやもっとこうしたらうまくいくという「提案・提言」の相談になってきます。ここで述べた相談の4段階に対して、それぞれ適切な応答(相談を受ける側の相談対応の仕方)も違ってきます。以上の4つをまとめると次のようになります。
■〔相談をする人〕の相談内容
⇒●〔相談を受ける人〕の対応の仕方
1■知らないことをきく相談
(専門用語、知識、スキルについての質問)
⇒●回答の相談対応/相談者に「回答」する
2■どうしましょうか相談
(どのように進めたらいいか一人で分からない相談)
⇒●指導の相談対応/相談者に「教示」する
3■こうしましょうか相談
(こうしたらという自分の意見を持っている相談)
⇒●助言・支援の相談対応/相談者の「意見」を高める
4■もっとこうしたらいいのでは相談
(自分の提案や問題解決を進めたい相談)
⇒●対話・共有化・解決の相談対応/相談者と共に解決する
上記の4段階とは別に、職場では悩みごと相談もあります。
□悩みごと相談(メンタル面、仕事の適性、勤務条件、等)
⇒●傾聴・明確化・情報提供・リファー
この「悩みごと相談」については、次回以降で考えていきます。
この相談の4つの段階で考えることで、以下のような3点で、職場でいい仕事をするために役立ちます。
(1)相手の求めているレベルに応じて対応できる。
1の段階の相談は、新人や異動者(新しくその部署に配属された人)、2の段階はまだ一人前になる前レベルです。1や2の場合は、すぐ回答して教えてあげましょう、アドバイスしましょう。特に急ぎの場合はすぐ答える。
こちらが忙しくて、急ぎのようでなければ、まとめて答える時間をとることです。新人であれば「質問ノート」をつくって、知らないこと、分からないことを書いて毎日提出するという仕組みも有効です。3、4の場合は状況によってはそれなりに時間をとってしかり対応することが必要です。
(2)部下育成(レベルアップ)に活用できる。
この4つの段階は基本的には、1から4へ上がっていくということになります。つまり仕事で一人前になり、さらにリーダーになるということは、3,4段階の相談が増えるということです。
2年目3年目になっても1、2の段階の相談しかしてこない場合には、意識的にレベルアップを図ることが必要です。そのためには、最初から相談の4段階と言う話をして早く3、4の段階になることを示しておくことです。
(3)職場での問題解決を進められる人材を育て、チーム力が向上する。
目指す4段階目の「もっとこうしたらいいのでは相談」ができるようになるとは、仕事や職場について問題意識を持って改善提案や課題解決の提言ができる人材になることです。
そのような問題解決の相談が、お互い同士でできる職場は、チームとしての力が発揮され、常に前進・向上を目指す職場となります。
さて、相談の4つの段階というフレームで相談を考えることのメリットはご理解いただけたでしょうか。
次回は、それ以外の相談について考えていきます。
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