
昨年(2015年)11月から、「開発こうほう」誌に掲載の原稿を、同誌の許可を得てブログに転載致します。
今回は第3回「優秀な人材の育成をどうするか?」(2016年5月号)
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本連載では、第1回で「優秀な人材ってどんな人?」のタイトルで、組織にとっての優秀な人材を「自社の事業で成果をあげられる人」と定義づけました。前回第2回では、「優秀な人材の確保をどうするか?」と題し、その優秀な人材を採用するキーポイントは、第1回で明確にした「優秀な人材の基準(要件)」の伝達・共有化にあり、とお伝えしました。
第3回の本稿では、その採用した人材をどのようにして育成するか、がテーマです。本稿で言う「優秀な人材の育成」というのは、一部の優秀なエリートを育てるという意味ではなく、優秀な人材となる可能性が高い人を採ったからには、それぞれが花開くように育成支援するということです。全員が優秀な人材になるための育成、と言い換えてもいいかもしれません。
結論から述べると、優秀な人材(になる可能性が高い人)が、その可能性を発揮できる環境をつくることが一番重要なことです。可能性を発揮できる環境づくりとは、仕事の任せ方、いつでも相談できる風土、人をやる気にさせる仕組みの3つです。仕事の任せ方と相談出来る風土の具体的な内容は以下の5項目です。
@期待すること
A目的と目標を持たせること
B常に自ら考えさせ、自ら学ばせること
C上司が適切なフィードバックをすること
D職場が相互に関心を持っているチームとなること
➀は、まず、会社(職場)に新人が来たら、歓迎し、期待を伝えることです。上司だけではなく、全ての先輩がそうすることです。
➁は、会社や仕事を覚えるための導入研修や職場での指導(OJT)を行う際に明確に目的を示すことです。この指導期間中でも、先ほどの期待と共に、半年後、1年後の目標を明確に伝えることです。
Bは、仕事の知識・スキルを教えることと共に本人自身に考えてもらうことです。特に、一つ一つの仕事の意味目的を伝えるだけではなく、自分で考え、実感してもらうことが肝要です。具体的には「あなたはどう考える?どうすればいいと思う?」と質問することです。
➃は、常に上司が仕事の進め方や成果、取り組み姿勢についてのフィードバックを行うこと。フィードバックとは仕事であればその成果や出来栄え、進め方を客観的に評価し、いい点は褒める、まだ不十分な点は改善点・課題として具体的に伝えることです。
フィードバックは上司だけではなく、先輩・同僚からもあれば、さらに効果的です。そして、それは新人に対してだけではなく、今いるメンバー相互についてもいえることです。
また、@〜➃は上司だけの仕事ではなく、職場の先輩・同僚の仕事でもあります。そのためには、職場をDのチームとして機能する場にしておくことです。チームとは、共通の目的・目標を持ち、その実現のために役割を担うメンバーが、意欲を持って協働関係をつくり、コミュニケーションがとれ自由に相談ができる集団です。
さらに、これまで述べた@〜Dの項目の実現のためには、組織としての仕組み(別な表現で言うと仕掛け)が必要です。それについては、次回で述べます。
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