2019年06月28日

組織における『相談力』を活かす7〜「相談で人を伸ばし、組織を活かすためには?」

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一昨年(2017年)11月から、「開発こうほう」誌に不定期で掲載の『組織における『相談力』を活かす』から今回は第7回「相相談で人を伸ばし、組織を活かすためには?」(2019年2月号)
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相談力を活かす7回目、今回のテーマは「相談で人を伸ばし、組織を活かすためには」。

これまで主に組織における個人の相談の意味や方法を
@「相談してますか、されていますか」
A「相談は誰のためにするのか」
B「相談は何のためにするのか」
C「2つの相談力〜相談活用力/対応力」
D「報告・連絡と相談との関係は」
E「相談で社内外のリソースを活かす」
以上の6テーマでお伝えしました。


本シリーズ最終回の今回のテーマはの内容は、個人の相談から職場・チーム視点での相談活用です。

今回の「職場・チーム視点での相談」とは、第3回で述べた4つの相談で2段階から、早期に3段階、4段階へと相談をステップアップすること、そして4段階目「もっとこうしたらいいのでは相談」で「相談事」の目的・内容が職場や組織についての現実課題についての解決に取り組むこと。

最後は、そのような相談で問題が解決される職場風土づくりです。


まず2段階の「どうしましょうか相談」から3段階の「こうしましょうか相談」というのは、「私困っています」ではなく「自分の意見や解決案を持っています」相談をすることです。

そのためには、相談を受けた人が、すぐにアドバイスするのではなく、質問して相談してきた人にも考えさせ、自分の意見を出させることです。
つまり相談者に考えさせることの促進・支援です。この体系的なアプローチを「コーチング」と言います。

次には、自分の担当業務内での相談ではなく、その仕事の進め方や職場全体での業務遂行の改善、さらには業務・事業自体を変革するための相談事です。

そのような相談を出せるように仕向けること、又は、自らそのような相談事(課題)提起をすることです。これが4段階目の「もっとこうしたらいいのでは相談」です。

この段階では、相談者と相談を受ける人の2人で解決する問題・課題の相談というより、その人がきっかけ及びキーマン(主体者)になって周囲を巻き込んで職場の改善・変革を進める相談です。

このような相談事(課題)は、多くの場合、3名もしくは4名〜7,8名位までの人数で相談を行うことが効果的となります。つまりグループ
相談、もっとわかりやすく言うと問題解決ミーティングとなります。

私の研修では、「問題解決のための会議研修」「問題解決ミーティング」のテーマで、参加者各人の職場や仕事での現実課題を話し合い、解決の具体策を作成していきます。

紙面の関係でその詳しい解説まではできませんが、「相談事(現実課題)」を提起した後は、大きく3つのステップで進めます。
@何が問題の本質(本質的問題又は焦点を当てるべき問題)かを質問中心で明確にするステップ、
Aその本質的問題の解決された姿の明確化、目標設定のステップ、
Bその具体策を多数提示し、最初に実行する具体策(具体行動)を数点(3つ程度)決めるステップ、です。

研修ではこの3ステップで30分〜40分で1テーマ(1つの現実問題)の解決策を作成します。
さらに、その解決策を実施して、必ず振り返りミーティング(評価し次なる解決策を作成し、目標達成まで継続する)を行うことです。

問題の解決策の作成で終わるのではなく、実施を振り返る中で、前進したこと・進まないこと、気づいたことを共有することで共に学ぶ職場(チーム)ができるのです。

日頃からこの皆で考える「もっとこうしたらいいのでは相談」ができる職場を目指していきましょう。まずは、お互いの相談事(解決したいこと)を積極的に聴き合いましょう。

(「組織における相談力」シリーズ全7回了)



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2019年06月23日

組織における『相談力』を活かす6〜「相談で社内外のリソースを活用するには」

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一昨年(2017年)11月から、「開発こうほう」誌に不定期で掲載の『組織における『相談力』を活かす』から今回は第6回「相談で社内外のリソースを活用するには」(2018年12月号)
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相談力を活かす6回目、今回のテーマは「相談で社内外のリソースを活用するには」です。

これまでは主に社内の職場での「相談力」について考え、学んできました。

今回は範囲を広げて社外の顧客・取引先や関係者、専門家、知人・友人との「相談」の活用を考えていきます。

今回の質問は、相談力シリーズ第1回の質問を少し変えて、「最近社外の人とした相談は何ですか?」「最近社外の人から相談されたことは何ですか?」です。

さて、あなたの答えはどうでしたか。
仕事や人間関係、個人的な健康や経済生活の問題等で何か相談しようと思った時に、社外の人の相談相手に誰が思い浮かびましたか。

相談は、仕事であれば、社外の他者の知恵・情報・経験を活用して、もっとより良い問題の解決策、仕事の改善案、画期的で創造的な企画提案を練り上げることです。

相談内容が個人的なことであれば、誰でもいいとはなりません。適切な相談相手が必要です。

社外の人との相談を「しているよ」、「受けたよ」と答えるには、信頼できる適切な「相談」ができる相手、「相談」に応えられる相手の社外の人的ネットワークを持つことです。

具体的には、相談して、そのリソースを活用できる以下の人との繋がりを作ることです。

1)自分の知らない知識・新たな情報を持っている人(自分と年代、性別、仕事、経験、出身、興味・関心、等が違う人)

2)異業種・異分野、他業界の知人・関係者(取引先も含めて)

3)各分野の専門家・スペシャリスト(かかりつけのお医者さん、親しい弁護士、等)

4)同好の士(仕事を離れた趣味やスポーツ等の仲間)

5)以前の職場の友人、学校時代の友達(単なる旧友ではなく、今活躍の友人たち)

そのためには、ご無沙汰している相手に、突然「相談したいことがあるのですが…」と言ってもスムーズに行かない場合もあります。
また、単に知っている人というだけではなく、日頃から繋がりを深める関係をどれだけ作っておくかも大事です。

上記した5つの中では、1)、2)に関しては、日頃仕事で出会う社外の人(お客様、取引先、等)とでも、仕事のできる人、良くモノを知っている人、経験の深い人等と、親しい関係を作っておくことです。

自分が、お客様である営業担当者やお店の人(車・家の営業担当者、保険セールスの人、不動産屋さん、等)とも少し情報交換しておくのも手です。

3)、4)に関しては、自己啓発のための学校(英会話、資格取得、等)に通ったり、セミナー、異業種交流会、スポーツや趣味のクラブ・同交会に参加することも、人脈を広げご縁を作ることにつながります。

またその学校やセミナーの講師、交流会・勉強会、クラブ・同交会の主宰者は、ほとんどが各々の専門家です。

5)については、同期会や同窓会があれば、一度は顔を出してみることです。その中で1)〜4)に当てはまる人がいることでしょう。同期生も昔のままではありません。

このようなご縁ある人との共通点探しや違っている点探しの軽い「質問」から始めることが関係づくりのコツです。

例えば、出身地、学校(学科)、仕事経験・経歴、趣味・特技等です。共通点は関係を深められ、異なる点はそこから新たな情報・知恵を貰えます。


次回は、個人の相談から「相談」でチーム力を高める組織を活かす方法を考えます。



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2019年06月07日

組織における『相談力』を活かす5〜「報告・連絡と相談との関係は」

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一昨年(2017年)11月から、「開発こうほう」誌に不定期で掲載の「組織における『相談力』を活かす』を、同誌の許可を得てブログに転載致します。今回は第5回「報告・連絡と相談との関係は」(2018年10月号)
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相談力を活かす5回目、今回のテーマは、「報告」「連絡」と「相談」との関係は、です。

さて、これまでの4回で「相談力」について考え、学んできたのですが、この「相談」は「報告」「連絡」と一緒に職場のコミュニケーションとして「報連相」と呼ばれています。

ここで、あらためて「報告」「連絡」「相談」の意味を確認したいと思います。

「報告」とは、指示や依頼を受けた仕事が終わったら、指示・依頼した人(多くは上司)に直ちに仕事の結果・経過の事実を簡潔に伝えることです。長くかかる仕事の場合は、途中で進行状況の中間報告をします。

「報告」は、指示を受けて実行し完了したら、その結果を伝えることで、これは業務として必ずすべきこと(義務)です。

「連絡」とは、仕事に必要な情報を必要な人へ伝え共有することです。
内容は、仕事の規則や作業手順の変更、お客様からの伝言、各人の勤務状況(遅刻や早退、休暇)等です。
仕事の効率をよくする、状況の変化に対応が出来る様にするために、必要な情報を共有することです。

「連絡」は、相手に伝わっていることを必ず確認して、共有化することです。

そして、「相談」とは、分からないこと、判断に迷ったことを上司・先輩に伝えて、その解決を図ることです。
つまり、一人で悩まずに周囲の助けを借りて、よりよい仕事ができるためにすること(問題解決)です。

第3回では、仕事での相談する側の目的を5つ挙げました。
前回第4回では、相談する側の「相談活用力」について述べてきました。

職場でより良い相談ができるために大事なことがあります。それは日頃から「報告」「連絡」を徹底して行うことです。

あなたが相談を受ける上司になって想像してみて下さい。
日頃、指示したことの報告がほとんどない、言われてからする、また仕事についての連絡もない、そんな部下が、自分が困ったときだけはいつも「相談」してくる、どう思いますか?

上司にとって「報告」「連絡」は部下の仕事の進行状況、結果、仕事ぶりを知るために必要なことです。
その必要なことはしないでおいて、自分自身に必要なことだけをしてくる部下では、積極的に相談に乗る気が失せてしまいませんか。

また、日頃から「報告」「連絡」を徹底していると、状況がよく分かりますから「彼(彼女)にとっては、こんなところは難しいかな、困るんじゃないかな」と上司からみえてきます。

そうなると相談に行った時には、既に相談がくるだろうと待っていてくれたり、相談に行く前に、逆に「どうだ、○○の件その後、うまくいっているか?」と上司から声をかけてくれたりするかもしれません。

日頃からの「報告」「連絡」を徹底することで、上司との情報の共有化ができているとお互いの「相談」も円滑に進むのです。

上司側としては、日常部下からの積極的な「報告」「連絡」が来るように、働きかけておくことで、よりよい「相談」もできるのです。
つまり、日ごろのこまめな「報告」「連絡」の中から職場でいい仕事をするための「相談」が生まれてくると言っても過言ではありません。

次回は、職場内だけの相談から、少し範囲を広げて社内外の相談を考えます。



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2019年04月09日

組織における『相談力』を活かす4〜「2つの相談力:相談する力/受ける力」

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一昨年(2017年)11月から、「開発こうほう」誌に不定期で掲載の「組織における『相談力』を活かす』を、同誌の許可を得てブログに転載致します。今回は第4回「2つの相談力:相談する力/受ける力」(2018年7月号)
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相談力を活かす4回目、今回のテーマは、
「2つの相談力:相談する力/受ける力」です。

相談は、相談をする(相談者)と相談をされる(相談を受ける人)の2つの立場から成り、それに対応して2つの「相談力」があります。
@相談をする⇒相談に乗ってもらい、メリットを得る。
A相談を受ける⇒相談に乗ることで、相手を支援する。
前者を「相談活用力」、後者を「相談対応力」とします。

この2つの「相談力」のコミュニケーションスキルとポイントを整理してみましょう。

相談をする人の「相談活用力」は、以下の3つがポイント。

@)相談する前に自分自身の相談する目的と成果(相談した結
 果何を得たいのか、何が分かればいいのか、何が進めばいい
 のか、等)を明確にしておくこと。
A)整理した相談内容を、相談する相手に分かりやすく伝える
 こと。
B)相談相手が、伝えてきたアドバイスや支援内容の理解し、
 確認・把握すること。

以上の3つのポイントで、必要なコミュニケーションスキルが、A)では「伝える力(説明力)」B)では「傾聴力」「質問力」です。

次に、相談を受ける人の「相談対応力」のポイントは、以下の3つとなります。

@)傾聴力:相手の相談の目的と相談内容を相手の立場、視点
 から、聴き理解すること
A)質問力:こちらの理解したことを確認し、相手の考えを共
 有し、さらには、相手の考えを整理する、引き出す等のため
 に効果的な質問ができること
B)伝える力(応答力):相手の目的・意図(要望、期待や求
 める成果)に合わせて必要なアドバイス・支援等の対応がで
 きること

上述した通りで「相談活用力」と「相談対応力」のどちらでも「傾聴力」「質問力」「伝える力(説明力/応答力)」の3つのコミュニケーションスキルが基本となります。

同じ伝える力でも、相談活用力では「説明力」として、相談対応力では「応答力」としたのは、相談対応では、単に自分の考えを言うだけではなく、あくまでも相談者の求めに応じたアドバイス、解決のヒント、参考になる考え方、等を答えることが大事だからです。

そして、円滑な相談をするためには、双方の「傾聴力」そして効果的な「質問力」が不可欠です。十分な相互理解と相談ごとについての共有化がされないと得るものが少ない相談になってしまいます。

前回(第3回)で述べた4つの相談に対しての相談対応力は、以下のようになります。

1.「知らないことをきく相談」
  ⇒知りたいことについて「回答」する相談対応力
2.「どうしましょうか相談」
  ⇒わからないことについて「教示」する相談対応力
3.「こうしましょうか相談」
  ⇒相手の意見を高めるための「助言・支援」の相談対応力
4.「もっとこうしたらいいのでは相談」
  ⇒さらに良い解決策を「対話・共有化」を通して一緒に
   作り出す相談対応力

2つの相談力について、読者の皆さま、振り返ってみていかがでしたでしょうか?
次回は、「報告・連絡」と「相談」の関係から職場コミュニケーションの秘訣を探ります。



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2018年05月25日

組織における『相談力』を活かす3〜「相談は何のためにするのか」

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昨年(2017年)11月から、「開発こうほう」誌に不定期で掲載の「組織における『相談力』を活かす』を、同誌の許可を得てブログに転載致します。今回は第3回「相談は何のためにするのか」(2018年5月号)
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『相談力』を活かす3回目となる今回のテーマは、「相談は何のためにするのか」です。相談の目的、何を求めて相談するのかを考えます。

新人だった頃のことを思い出してみましょう。どんな相談をしていましたか。

社会人になって、仕事を覚えるため、また職場に慣れるために、教わったことや学んだことをまずはやってみる、そんな日々の繰り返しだったと思います。

初めてのことばかりで失敗したり、どうしたらいいか分からなくて迷ったり、不安になったこともあったと思います。そんな時、身近な上司先輩に、困っていることを相談したのではないでしょうか。


相談をする目的(何のためにするのか、相談をして得たい結果は何か、相談する動機や意図、等)は様々なものがあるでしょう。以下に、考えられる相談の目的をいくつか挙げてみます(《 》内は得たいこと)。

@)仕事で分からないこと(知識、情報等)を質問する相談
 《情報を得る》

A)仕事で自分一人ではどう進めたらいいかが分からなくて相談する 《アドバイスを貰う》

B)そもそもまったくどうしたらいいか分からないので相談する 《未経験の新しい仕事や案件で、経験者や専門家に取り組みの方向性をきく》

C)自分で考えたことを整理・確認するために相談する
 《考えを整理し明確にする》

D)自分の提案や解決策をさらに良いものにするために相談する 《一緒に考えてもらいよい解決策を得る》

E)悩みや不安を何とかしたい相談
 《ストレス解消、気持ちの問題解消》


最後E)の相談は、仕事そのものの相談というよりは、カウンセリング的傾聴が必要なものです。悩みや不安が積み重なっていくと、しまいには、自分はこの仕事(会社)に向いているだろうか、というキャリア・生き方の問題になったり、またメンタルな問題へ至ることもある大事な相談です。

仕事の面では、@)からD)までの目的が多いでしょう。このような相談を活用することで仕事が進み、一人ではできない大きな仕事、問題解決もできるようになります。


新人の頃の相談から、目的を段階的に考えて、次の4つの相談に整理します(⇒相談の動機・意図)。

1.「知らないことをきく相談」(専門用語、知識、スキルについての質問)⇒知りたい

2.「どうしましょうか相談」(どのように進めたらいいか一人で分からない相談)⇒アドバイスがほしい

3.「こうしましょうか相談」(こうしたらという自分の意見を持っている相談)⇒理解してほしい

4.「もっとこうしたらいいのでは相談」(自分の提案・解決策を進めたい相談)⇒承認し・支援してほしい


もちろん、実際には、相談する人によって、また相談する内容によって、相談する意図・目的は様々なものがあるでしょう。何のために相談するのかを本人自身が明確にして相談することが、相談で成果を得るために重要なポイントとなります。


さて今回は、相談する側からみた「相談」の目的、そしてその目的から相談の4つの段階という整理をしてきました。

次回は「相談を受ける側」の視点も加えて『2つの相談力(相談を活用する力/相談に対応する力)』のテーマで考えていきます。


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2018年01月16日

組織における『相談力』を活かす2〜「相談は誰のためにするのか」

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本年(2017年)11月から、「開発こうほう」誌に不定期で掲載の「組織における『相談力』を活かす』を、同誌の許可を得てブログに転載致します。今回は第2回「相談は誰のためにするのか」(2018年1月号)
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前回は、「相談しない」、「相談されない」人や職場には3つの問題があると言いました。

「相談する」「相談される」ことで、一人で悩んだり、考えたりしているよりもっと良い回答、解決策、アイデアを得て、良い仕事の進め方をできるようになるために、考えておくべきことが3つあります。

一つ目は「相談は誰のためにするのか?」、
二つ目は「相談は何のためにするのか?」、
三つ目は「相談はどのようにしたらいいのか?」です。

今回は、一つ目の「相談は誰のためにするのか?」について考えていきます。

ところで、「相談」と「報告」の違いは何だと思いますか?「相談」は自分が困ったことや意見を訊きたいことを伝える、「報告」は自分の仕事の結果を相手(多くは上司)に伝えることです。

「報告」は、まったくしないとどうなりますか?
ふつうは、叱られます。あるいは、困ったやつだと思われます。つまり、「報告」はしなければならないことなのです。言い換えると「義務」と言えます。

それに対して、「相談」は、全くしないからといって怒られることはありません。いちいち相談せずに仕事が進んでいれば、何も文句を言われることはありません。つまり「相談」は自らが、するかしないか決めることなのです。

私が行う「真・報連相研修(*)」で、「『相談』って何ですか?社会人になったばかりの新人に分かりやすく一言で説明するとしたら、どう伝えますか?」と受講者である管理者やリーダーに問いかけます。

「相談」に関しては、困ったことを訊く、人から意見を貰う、自分の考えがいいかどうか判断してもらう、等の答えが出てきます。

以上の回答から考えると、相談しない人は「困っていない人」「人から意見を貰おうと思わない人」「自分の考えでいいと思う人」、と言えます。つまり仕事について自分の考えや判断のモノサシのままで何も問題がないと感じている人です。

それに対して、相談する人は「困っている人」「人から意見を貰おうと思う人」「自分の考えだけでは十分ではないと思う人」、つまり自分一人ではなく、他の人の知恵を借りようとする人です。

この「相談しない人」と「相談する人」と比べてどう感じますか?
「相談をする人」の方が今よりいい仕事をしようとする人と言えませんか。新人はもとより、中堅職員、管理者、幹部であろうと、いい仕事をするためには自分一人だけで考えたり、自分の知識、経験だけでいつも十分ということはありません。

「相談」は自分一人の頭を使って仕事をするのではなく、活用できる複数の人(他者)の頭を使っていい仕事をすることなのです。

それは自分のためであり、自分の仕事のお客様のためでもあります。相談によって仕事が進み、より良い仕事ができて、結果として自分の仕事の貢献対象(お客様、次工程、他部署)に役立つことができるのです。

「相談」は相談する人が主人公(主役)です。相談を受ける人は、支援者(脇役)といえます。しかし、そうなるためには、そうなる関係ができていることと共に相談者(相談する人)が、何のために相談するのかと言う目的を明確にもつことが必要です。

次回は、「相談」は何のためにするのか?相談の目的について考えていきます。


*「真・報連相研修」
個人の報連相だけではなく、職場全体で情報の共有化を深めて、組織としていい仕事をするための研修。事実情報のやりとりのみではなく、意味(目的)情報、考え方の共有化をめざす。
日本報連相センターHPご参照下さい。http://www.nhc.jp.net/


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2017年11月24日

組織における『相談力』を活かす1 〜「相談していますか、されていますか」

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本年(2017年)11月から、「開発こうほう」誌に不定期で掲載の「組織における『相談力』を活かす』を、同誌の許可を得てブログに転載致します。今回は第1回「相談していますか、されていますか」(2017年11月号)
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私の仕事は、民間企業や公的機関(国や地方自治体)をクライアントにした研修講師と人事組織コンサルティングです。
研修の中で、「真・報連相研修」*はかなり多く実施しているテーマの一つです。

今回の連載では、その「報連相(報告・連絡・相談)」の中でも、特に「相談」を活用することを『相談力』と名付けました。職場で相談を活かして、いい仕事をするための実践的方法を考えていきます。

まず日頃、職場での相談について少しふり返ってみましょう。次の質問に答えてみてください。

「最近した相談は何ですか?」「最近相談されたことは何ですか?」


さて、あなたの答えはどんな内容でしたか。どんな内容の相談でも構いません。
相談したことや相談されたことがかなりあるという回答であれば、問題はありません。

逆に、ほとんど相談していないし、また全く相談もされていないという回答でしたら、このことを少し考え直した方がいいかも知れません。なぜかと言うと、次の三つの問題があると考えられるからです。

一つ目は、社員(部下、後輩)が上司、先輩や同僚と相談できる関係にないので、できない。
二つ目には相談相手に「相談」しても、結果が出ないので、しない。
三つ目には、そもそも相談することがない、何を相談するものなのかが分からないのでしない。



一つ目は、相談相手との信頼関係がない、または相談できる人がいないという問題です。
職場で仕事をしていると、自分一人では分からないことがあって困ったり、もっとうまいやり方がないかなと感じたり、考えたりするものです。

それでも、相談しようとしてもなかなか言い出せない、または聞いてくれそうもないと感じる。つまり、気軽に相談できる相手が見当たらないということです。皆が、忙しそうにしていて時間をとってくれる余裕もない、他人のことに構っていられないような職場の雰囲気がある、等がこの問題に含まれます。


二つ目は、相談をすることはできるし、話しも聞いてくれる、けれども相談した結果が期待した答えは得られず、相談する甲斐(かい)がないという問題です。

その結果として、だんだん相談しなくなりますし、相談されることも少なくなります。


三つ目は、相談すること自体をあまり考えたことがない、また何を相談したらいいのか分からないという問題です。

社員に問題意識や改善・向上意識が少なく、そのため相談する気がない、相談する必要性を感じない。


さて、相談をふり返るための二つの質問へ回答してみて、そして、「相談」をとりまく三つの問題を読んでみて、どんなことを感じましたか。

次回以降では、この「相談しない」「相談されない」の問題を解決して、職場で「相談」がもっと活用されるためにはどうしたらいいのかを一緒に考えていきます。



*「真・報連相研修」
個人の報連相だけではなく、職場全体で情報の共有化を深めて、組織としていい仕事をするための研修。事実情報のやりとりのみではなく、意味(目的)情報、考え方の共有化をめざす。
日本報連相センターHPご参照下さい。http://www.nhc.jp.net/


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2017年03月24日

「相談マネジメント」を考える(3)〜「相談の4つの段階」

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前回は、「相談力」の2つの力、『相談活用力』と『相談対応力』について述べました。

組織(会社、病院、自治体や学校等)での相談は、その組織に入ったばかりの新入社員・職員(以下新人)とベテラン社員・職員では、当然違ってきます。

最初は、全て未経験の新人は、知らないことを聞いてきます。
それから、仕事の知識、情報を仕入れて、今度は、具体的な仕事の一つ一つでその進め方で分からないことが出てきます。そうすると「どうしたらいいでしょうか?」の相談となります。
そして経験を積む中で、次には自分なりの考えをもって「こうしましょうか?」となってきます。

さらには、自分の仕事だけではなく、職場で問題に思うことやもっとこうしたらうまくいくという「提案・提言」の相談になってきます。ここで述べた相談の4段階に対して、それぞれ適切な応答(相談を受ける側の相談対応の仕方)も違ってきます。以上の4つをまとめると次のようになります。

■〔相談をする人〕の相談内容
⇒●〔相談を受ける人〕の対応の仕方

1■知らないことをきく相談
 (専門用語、知識、スキルについての質問) 
 ⇒●回答の相談対応/相談者に「回答」する

2■どうしましょうか相談
 (どのように進めたらいいか一人で分からない相談) 
 ⇒●指導の相談対応/相談者に「教示」する

3■こうしましょうか相談
 (こうしたらという自分の意見を持っている相談) 
 ⇒●助言・支援の相談対応/相談者の「意見」を高める

4■もっとこうしたらいいのでは相談

 (自分の提案や問題解決を進めたい相談) 
 ⇒●対話・共有化・解決の相談対応/相談者と共に解決する

上記の4段階とは別に、職場では悩みごと相談もあります。
□悩みごと相談(メンタル面、仕事の適性、勤務条件、等)   
 ⇒●傾聴・明確化・情報提供・リファー
この「悩みごと相談」については、次回以降で考えていきます。


この相談の4つの段階で考えることで、以下のような3点で、職場でいい仕事をするために役立ちます。

(1)相手の求めているレベルに応じて対応できる。
 1の段階の相談は、新人や異動者(新しくその部署に配属された人)、2の段階はまだ一人前になる前レベルです。1や2の場合は、すぐ回答して教えてあげましょう、アドバイスしましょう。特に急ぎの場合はすぐ答える。

 こちらが忙しくて、急ぎのようでなければ、まとめて答える時間をとることです。新人であれば「質問ノート」をつくって、知らないこと、分からないことを書いて毎日提出するという仕組みも有効です。3、4の場合は状況によってはそれなりに時間をとってしかり対応することが必要です。


(2)部下育成(レベルアップ)に活用できる。
 この4つの段階は基本的には、1から4へ上がっていくということになります。つまり仕事で一人前になり、さらにリーダーになるということは、3,4段階の相談が増えるということです。

 2年目3年目になっても1、2の段階の相談しかしてこない場合には、意識的にレベルアップを図ることが必要です。そのためには、最初から相談の4段階と言う話をして早く3、4の段階になることを示しておくことです。


(3)職場での問題解決を進められる人材を育て、チーム力が向上する。
 目指す4段階目の「もっとこうしたらいいのでは相談」ができるようになるとは、仕事や職場について問題意識を持って改善提案や課題解決の提言ができる人材になることです。

 そのような問題解決の相談が、お互い同士でできる職場は、チームとしての力が発揮され、常に前進・向上を目指す職場となります。

 
さて、相談の4つの段階というフレームで相談を考えることのメリットはご理解いただけたでしょうか。

次回は、それ以外の相談について考えていきます。


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2017年03月12日

「相談マネジメント」を考える(2)〜「2つの相談力」

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前回は「相談とは」のテーマで、相談には「うまく相談する(相談に乘ってもらう)」力と「うまく相談に乘る(相談する人の求めに応じた回答をする、又は回答へ導く)」力の2つがあると述べました。

これを整理すると、
(1)相談をする⇒相談に乗ってもらい、メリットを得る。こちらが「相談活用力」

(2)相談を受ける⇒相談に乗ることで、相手を支援する。こちらを「相談対応力」


というように、相談力は「相談活用力」と「相談対応力」の2つからなると言うことができます。

相談者のコミュニケーションの取り方「相談活用力」としては、以下の3つがポイント。

@)自分自身が相談する目的と成果(相談した結果何を得たいのか、何が分かればいいのか、何が進めばいいのか、等)を明確にしておくこと。

A)相談したいことの内容を整理して、相談する相手に分かりやすく伝えること。

B)相談相手が、伝えてきたアドバイスや支援内容の理解を確認・把握すること。


以上の3つのポイントに必要なコミュニケーションスキルは「伝える力(説明力)」「傾聴力」「質問力」の3つです。

一方、相談を受ける人の「相談対応力」では、上の相談する人の3つのポイントに対応して
@)相談に来た人の相談事の目的と成果(相談した結果何を得たいのか、何が分かればいいのか)を、まずしっかりと聴くこと。

A)明確でない場合は質問して、さらに相談にきた相手自身の考えを整理して、明確にさせること。

B)把握した相談に来た相手の求めるもの、必要なことをアドバイスして、分かりやすく伝えること。


以上のポイントに必要なコミュニケーションスキルは、まとめると以下の3つとなります。

@)傾聴力:相手の相談の目的と相談内容を相手の立場、視点から、聴き受容すること

A)質問力:こちらの理解を確認したり、相手の考えを共有したり、相手の考えを整理する、引き出す等
のために効果的な質問をする力

B)応答力(伝える力):相手の目的(要望、期待や求める成果)に合わせて必要なアドバイスやその他の対応ができること


これまで述べた、相談者が「相談活用力」の3つのポイントを押さえた相談ができ、かつその相談を受ける人の「相談対応力」の3つのスキルが高いと、これは非常にスムーズでかつ効果的な相談のコミュニケーションが成り立つわけです。

現実には、両方共高いスキル(相談力)がある、と言うことは稀です。
相談する人が新人や若手社員であれば、相談したいことの内容の整理もままならないということもあります。相談を受ける人がその仕事のエクスパートで専門能力が高い場合には、逆に何で分からないのか、と思って「何でそんな当たり前のこともわからないんだ!」とつい言ってしまったりします。

まずは、相談する人は、自分自身の「相談事」を整理し、明確にして、分かりやすく伝える。
相談を受ける人は、自分が知っていることかどうかの前に、目の前の相手「相談する人」がどう思い、感じ、考えているのかを掴む。これがスムーズな相談のスタートになるのです。

今回は、2つの「相談力」について述べてきました。

前回は「相談」の一般的な意味を述べましたが、相談といっても新人・若手社員と中堅社員、ベテランでは、相談の仕方も内容も違ってきます。次回は、組織における「相談の4つの段階」をテーマにしていきます。
(前回から2か月もたってしまいました。次回は遅くとも1ヶ月できれば半月後にアップしたいと思います)



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2017年01月09日

「相談マネジメント」を考える(1)〜「相談とは」

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このメルマガのご挨拶、インタフェースサイトのご挨拶「インタフェースTOPICSブログ」でも述べましたが、今年の3つのテーマの1つ目は「相談力」。

昨年も「相談」については、考察を深めたり、「相談力」セミナーの実施や「相談力」活用テキスト原稿をまとめたりして取り組んできましたが、今年はより実践を深め、成果を上げ前進してまいります。


この人材・組織開発ブログも『相談力』さらに一歩進めて『相談マネジメント』をメインテーマにしてまいります。今月中に名前も変えて一新します。

第1回目のテーマは「相談とは」。

相談とは、
「問題の解決のために話し合ったり、他人の意見を聞いたりすること、またその話し合い。
問題の当事者同士が話し合うこと、また当事者以外の人と話し合うこともある。」
と言うのが一般的な意味です。

私のこのブログでの「相談」は、仕事(ビジネス)や組織(会社、病院、自治体や学校等)における相談を主に対象としています。

その点で相談とは、「仕事や職場(組織)で、一人で困ったり・悩んだりしたらその解決のために他者から意見・アドバイスを貰う」ことから始まり「職場(組織)で、さらにいい仕事をするために、二人以上でその持つ知識・経験や考え方を活用して効果的な問題解決を図ること」という範囲までの対話・話し合い、と意味づけます。

私も学び、活用している日本報連相センターの『真・報連相』では、特に後者の相談の意味づけとして「シナジー(相乗効果)」がキーワードです。


さて、相談は「相談する」のと「相談に乘る」という二つの立場があります。
そういう意味では、相談はこの2つの立場で成り立っています。

となると「うまく相談する(相談に乘ってもらう)」力と
「うまく相談に乘る(相談する人の求めに応じた回答をする、又は回答へ導く)」力
とから成ると言えるわけです


効果的な「相談」の力を考えると、この相談の両面の2つ力が必要となるのです。

相談は、話し合いであり、相談事がなんであるか理解してもらって、それに対しての意見・アドバイスを貰うのですから、まず「コミュニケーション力(伝える力、聴く力)」が必要となります。

相談は問題解決するものでもあり、コミュニケーション力だけではなく問題の原因や本質を掴む力、解決の目標を明確にする力、具体的に解決策を考える力等の「問題解決力」が必要な要素の2つ目です。


次回は、この「相談力」について考えていきます。




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