2009年06月01日

正社員を望む相談者へのキャリアコンサルタントの対応は?

5年前くらいから、不定期だが某社のキャリアコンサルタント養成講座の講師をしている。
3年前ほど、その講座の修了生でキャリアコンサルタントの資格を取り、実際に仕事に就いた方からの相談への回答を以下に記してます。

自分自身の就職や仕事を考えたとき、また相談を受けた際に対応の仕方の参考まで(あくまでも私の考えです)。

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 Q:私、このたび委託を受けて、公的機関の委託訓練を受けている受講者にキャリコンをおこなう仕事をおこなうことになりました。宅建とかマンション管理士の講習をうけているとのことです。全体に年齢が高めで60歳近くの人もおります。こういう人で正社員を望んでいる方にはどのようにお話するといいのか、考えております。実際には正社員はむずかしいかなとも思うのですが、パートやアルバイトでも選ばずにやってみた方がいいのか、それとも希望を尊重して正社員にこだわっていくことを否定しない方がいいのか、ご教示いただければと思います。

A:キャリアコンサルティングの仕事に就かれたとのこと、おめでとうございます。ご質問の件ですが、私の考え(●)を以下お答えいたします。

●就職を希望する人で、正社員であるという雇用条件を重要に考える人も多いとは思います。
 年齢的な面で正社員での雇用が難しいのが現実ですということを理解してもらうことも必要でしょう。
 まずは、正社員であることだけが就職する(働く)ための条件ではないはずです。
 例えば、
 @とにかく早く就職したいのか、それとも少し期間がかかっても望む就職をしたいのか
  (つまり経済的な面で、蓄え・余裕があるのかどうかということです)
 A勤務地の条件(現在の居住地よりどれくらいの範囲までOKなのか)
 B勉強している資格を活かしたものでなければ絶対ダメのか、それともこれまでの経験
  を活かした仕事でもいいのか(仕事の内容)
 C就職先の会社の条件(規模、安定性、業種など)
 D就職に当たって何を重視するのか(収入、安定、働き甲斐、家族、面子・体面・・・)

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●もちろん望む職種の仕事が正社員と言う雇用条件で探せれば、それに越したことはないわけです。実際にそれを目指しても現在の雇用(就職)市場では、簡単でないと分かれば(あるいは事前に分かってもらって)正社員とかパート契約社員という雇用形態ではなく、賃金や勤務場所、職種などその他の条件で自分の望む仕事をよく考えてみることを促すことです。
 
●また、正社員での採用と言うことに関しては、相手(会社)側の視点も考えてもらうことです。
 つまり、会社(雇用する)側から見れば、正社員というのはそれなりに身分保障し、安易には辞めさせられないと言うことは一般的ですから、簡単には採用できない。契約パート社員であれば、一定期間での雇用を終了させることができる。
 しかし、正社員となっても最近は会社から見てダメであれば、首になることは結構ありえます。契約・パート社員でも仕事ぶりが認められれば、継続して雇用されるということです。

●まとめますと、「正社員で勤める」ことが一番の目的なのかどうかと言うことを自分自身で吟味してもらう(よ〜く考えてもらう)ことが大事だと私は思います。
 その際に、これまでの知識や経験で思い込んでいる人も多いので、客観的情報(具体的には希望職種についての求人案件の条件)を知ってもらう(実際にハローワークの求人や新聞、40歳からの仕事などの求人誌を自分で見てもらう)ことです。
 そして一番最初に述べたように、自分にとっての優先すべき条件の順番を考えててもらうことです。

●キャリアコンサルタントとしての優先順位は、求職者の目標達成です。
 しかし、それは求職者が何も考えずに最初に思った希望ではなく、現実を知りまた自分自身でよく考えた結果、作った目標の実現です。安易に説得するのではなく、求職者自身が動いて現実の情報を収集して体感し、また自分自身についてもよく考えることです。
 キャリアコンサルタントは先生ではなく、コーチでありサポーターであるというスタンスが大事です。教えるのではなく、本人が考え決めることの支援です。
 客観的に見て必要な場合は教示・説得も必要です。しかし、人は自分が理解し納得したことでしか行動しないものです。

少し長くなりましたが、少しでも参考になれば幸です。
また、いつでも遠慮なくご相談ください。

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2008年01月21日

「部下の意見は聞けたが、反論され対話はストップ」どうしたらいいのか?

ILM28048.JPGQ:コーチング研修で「傾聴」の大切さと、自分にはそれがいかに不足していたかが分った。早速、マネージャーとして部下への指導、支援の方法として、学んだ「コーチング」を実践した。
これまで、自分が一方的に話をしていたミーティングで、最初の一言だけにして、進行も補佐役に任せた。また面談でも、まずは質問して、相手が話すまで待った。以前よりは部下の話をきけるようになった。

先日、以前から気になっていた部下と面談した時に、これまではほとんど意見を言わなかった相手が、傾聴することによって、結構話し始めた。しかし私の意見に反論し、対話がストップしてしまった。私も、譲らず少し気まずかった。コーチングの難しさを実感した。

どうしたら良かったのでしょうか?
【課長○○氏、52歳】

A:○○さん、コーチングの実践が進んでいるじゃないですか!素晴らしい。
研修でも申しましたが、何も言わない部下は、意見を持っていない訳ではなく、聞いてくれないから言わないということが多いものです。

部下から反論されて困ったようですが、部下が反対意見を言ってくる位、○○さんに聞く姿勢ができてきた事は、コーチングが前進している証拠です。

さて、コーチングの基本は「傾聴・質問・確認」です。反論されたら、先ずもっと聴きましょう「なるほど、君はそう考えていたんだ」。そして質問です「なぜ君はそう考えるのかね?」「その意見のメリットは?またデメリットは?」など。いろいろ聞き出すと「そうするとこの点は(目指す目的は)一緒だね。違いはこのやり方の話だ」と共通点と相違点が確認できます。

自分の意見と違うからと言ってすぐに否定しないで、もう少し相手の主張する理由を聞き出し、2つの意見を並べて、二人で眺めてみる、そんな感じでやってみてはいかがでしょうか?そうすると対話も進みます。
ILM28041.JPG 双方の言いたいことがお互い理解した上で話を進めた方が、相手を説得する際にも、また納得してもらうにも効果的なようです。

人は、自分の意見をよく聞いてくれた(受けとめて理解してくれた)人の意見は、例え反対の意見であっても耳を傾けるものです(その逆を考えてみてください。お互い相手に話を聞かず、一方的に言い合う様です)。

意見を聴くこと(受けとめる)ことと賛成・同意することは必ずしも一緒ではないこと、研修でもお伝えしたこのことを再確認して、いきましょう。

(反対意見が出た相手に)「なるほど、君はそう考えているんだ。もう少しその考えを聞かせてくれるかい?」・・・。そして相手がそれほど深く考えていない場合には、自分自身も意見の不足に気づき、自ら上司である○○さんの考えに合意する事になるでしょう。そうして、実に良く考え、十分に検討された意見であれば、上司としても一考する価値のあるものかもしれません。生産的な対話ができることでしょう。



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